Jazz Bass Blog

Exploring The World of Jazz and Low Note

【あなたはウッドベースで弾きたいフレーズ出せていますか?ウッドベースの革新的な弾き方を紹介します】

つい最近のこの記事で指板にシールを貼ることにしたわけですが、この記事ではウッドベース/アップライトベースにおける新しい弾き方を提案したいと思います。

sethproton.hatenablog.com

 

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あなたはウッドベース奏者の演奏を聞いて、こんなことを感じたことがありませんか?

「何を演奏しているか分からない」「メロディアスな演奏ではないから退屈」「ローノートとレイドバックでジャズの味は出ているがやはり表現に制限を感じる」

 

もしあなたがウッド/アップライトベース奏者なら、楽器を演奏する大変さを知っている為、このような感想をあまり持つことはないと思いますが、他の楽器を演奏している、又はジャズが好きなリスナーならこんなことを思ってもおかしくないのではないでしょうか。

では彼らがこういった感想を持つのはなぜなのでしょうか。理由はいくつかあります。一つは、ベース自体の音が低い周波数を出す楽器であるので、メロディックな楽器ではないと言うことです。(基本的に高音になれば、メロディアスに聞こえる)そういった理由で、バイオリンやギターがウッドベースより人気なのは裏付けられます。

しかし、理由はこれだけではありません。単純にウッドベースは”弾きづらい”からなのです。詳しく弾きづらさを説明すると、ギターと違って、まず4弦なので左手のシフティングが多いわけですね。

 

でもここまではエレキベースと同じですね。問題なのは、それに加えて、楽器自体が大きいが故、ある指板のポジションでは3フレットに対して4つの指と言うルールが適用されるからなのです。つまり、エレキベースでは、クロマティックを弾く時、(C C#/Dd D Eb)左手4本の指を使います。それに対して、ウッドベースは3フレットに対して4本の指全てを使うことになるので、4本をフルに活用して(C C#/Dd D)を弾くことができるということになります。

 

図で見てみましょう。

 

エレキベースギターの場合:

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そしてウッドベースの場合:

f:id:sethproton:20180314124440p:plainこれはウッド経験者から見たら、何を当たり前のことをいっているのか!と言われますが、実にこうした制限がウッドベースに適用されてしまう為に、ソロの時、速いパッセージであるべきスケールのリックがギタリストやホルン奏者と比べて遅くなってしまったり、シフティングが難しいが故に、リックやフレーズ同士の繋がりがなかったりするわけだと分析できます。

 

勿論、この制限があっても素晴らしいソロをする人間は沢山います。有名なベーシストでは、このシフティングを超人的な速さでこなしていながらも素晴らしいソロをするベーシスト、クリスチャン・マクブライドなどが挙げられます。

https://nyoobserver.files.wordpress.com/2017/04/gettyimages-482601516.jpg?quality=80&w=970

 

しかし、彼の素晴らしさはまた今度別の記事で紹介するとして、

今回の記事で私が提案するのはこれです。

 

Thumb Position ハイポジションで使う親指ポジションをできる限り使用する

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また当たり前のことを!と思った方、少し待ってください。親指ポジションを使うのはそうなんですが、これをできる限り使うのです。目的としては、これをできる限り使うことで、エレキベースとの隔たりを無くしてしまおうという試みです。先ほどの図で明確にしたように、エレキは指4本に対して、4フレット。ウッドベースでは親指ポジションを使えば、指4本で4フレット。つまりエレキと同じ指使いになります。

 

しかし従来の方法では親指ポジションは低いGの2オクターブ上からが基本、とされてきました。この制限をなくすことで、エレキベースとの演奏の同化を図る、という試みです。ではどこまで親指ポジションを使えるかというと、親指が一番下のD(5フレット)の位置まで使うことができます。*1

 

イメージとしてはこんな感じです。

www.youtube.com

この演奏者は滑らかに左手を使い、通常の1オクターブ上で演奏しています。(彼は比較的下のノートは親指ポジションは使用していませんが)でもこれはやはり、彼も指板に小さいシールかインレイを貼っているように、この親指ポジションを滑らかに使う為に、シール/インレイの重要性が証明されます。

勿論、シール/インレイ無しでもこのような演奏は可能だと思われますが、それには相当な練習が必要がなのかな、と思われます。

 

私も過去にDonna LeeのヘッドをG弦(1弦)を多用して弾いてみましたが、この親指ポジションを12フレットあたりで行き来させて演奏した方が圧倒的に弾きやすいです。ソロもスケールやコードトーンをより簡単に弾きやすいですし、プリングとハンマリングができるのでエレキライクなソロができて長所がたくさんあります。

 

結論としてこの方法であれば、エレキと同じように弾けるので、よりフレーズがつながりやすくなるのかな、と今回は考察してみました。しかし本当にウッド=エレキにするにはウッドの弦のテンションや弦高をさらに低めに設定するなどの調整が少し必要であったりします。そしてそれを追求しすぎると、”ウッドベースらしい音”という長所も消えてしまうので、難しいところですね。

 

Steve

*1:私の手の大きさと体感で決めました