Jazz Bass Blog

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ベースギターの苦手な指板のポジション? / The Uncomfortable Position on Fretboard?

先日、興味深い記事をJazz Guitar Blog さんのブログから拝見させて頂きました。

jazzguitarspot.com

記事の内容は指板上に存在するバミューダトライアングル、つまりギタリストが苦手とする指板上のポジションをコミカルに表現した内容でした。ユーモアがあって面白いです。

しかし指板の苦手なポジションはバミューダトライアングルであれ何であれ、存在するのは事実です。それは私も苦手としていたポジションで8フレットから12フレットの間になります。

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↑位置で言うとここら辺です。

どうやら共通意識としてこの8ー12フレットのポジションで弾くのが0−5フレットのポジションよりも自信がない人が多いようです。でもそれって何故なのでしょうか?

その理由とそれを克服する対策を今回は考えてみました。

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理由1:インレイの視覚的弊害

ベースギターにはインレイというポジションマークが付いています。私たちがベースギターを始めて手にする時に3フレット3弦のドという音(C)を人差し指で抑えて薬指か小指をレの音(D)で抑えるという形、つまり、ドをルート音にスケールや音の構成を構築していくケースが多いのではないでしょうか。そしてそのドの音やレ、上にあがって4度のファ(F)やソ(G)にはインレイ付いています。さらにルート音をドとして捉えてインレイを目で追っていくやり方で、メジャースケールやマイナースケールを、開放弦を使用せずに、左手のストレッチを極力しない弾き方で、3−7フレットの中で弾くとします。すると、例外なく、一度、2度、4度、5度の時にインレイを抑えます。この人差し指と小指または薬指にインレイがあるという視覚的感覚に加えて、半音(Db, Eb, F#,Ab, Bb)にはインレイがないと認識する感覚が初期の段階で身についてしまったから、これが弊害になっているのではと考察できます。8フレットから12フレットの間には前述のド(C)やレ(D)にインレイは存在しません。半音階のド#(C#/Db) やファ#(F#/Gb) 等にインレイが配置されています。

 

 12フレット以降のインレイの配置は、0−5フレットの配置と全く同じです。だから12フレット以降の指板のポジショニングは迷いにくいのでしょうね。

 

理由2:使用する頻度が他のポジションと比べて少ないから

ルート音でバンド内を支えることは、ベースギターの役割の一つです。その点を踏まえると、高音より低音に素早くアクセスできるポジションが使われやすいと推測できます。従って8ー12フレットを使用するよりも、低音にアクセスしやすい3−5フレットを使用する頻度が高いと言えます。例えば同じド(C)でも8フレットのド(C)より3フレットのド(C)の方が使用する頻度は高い筈です。ジャズのウォーキングベースラインを構築する上でも3フレットの上に存在するド(C)は頻繁に使います。さらに前述した通り、インレイも3フレットのド(C)にはありますから、それに慣れて気楽に使える、という人が多いと思われます。

 

理由3:8ー12フレットの音は3−5に比べて音色が違うから

同じド(C)でも3フレットの方が8フレットのド(C)よりサスティン(音の伸び)があります。8−12フレットにある音は1弦を除けば、0−5フレット内で全て出す事ができます。こういった互換性がある中で、音色という点で8−12フレットの音が0−5フレットの音に劣るから使用する頻度が少ないのではと推測できます。実際の例としては、ベーシストの行うスラップで8フレットあたりを弾いても、0−5フレットと比べると、弦のテンションが違うので全く気持ちよくない事が分かります。こうした理由から使用する頻度が少なくなるのではと考察できます。

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まとめると、インレイの視覚的弊害や、音色の選択、これらが8−12フレットを使用する頻度を低下させ、この間の指板上の押弦の自信を低下させているのだと思います。

 

8−12フレットはジャズのソロでは最も重要なポジション

ジャズのソロではアルペジオ主体のフレーズをソロの時に多用します。8−12フレットあたりのポジションは4弦のベースギターがポテンシャルを一番発揮できるポジションです。なぜかというとCのキーのダイアトニックのアルペジオを左手のシフティングをほぼ無しで演奏できるからです。詳しくはこの動画の10秒あたりを参考にしてみてください。

youtu.be

どうすればこの8−12フレットの苦手なポジションを克服できるのか

 結論としては、考えながら練習することだと思います。私の体験談からですが、ジャズを始める前には指板上の1フレットの一弦にあるラ(Ab)や2弦上のミ(Eb)を覚えるのに何故か苦労しました。どちらも半音だから頭に入りにくかったのでしょうか。そしてコントラバスを始めてからは、指板上のハーフポジションを嫌でも練習しないといけなくなります。ちなみにハーフポジションというのは人差し指から小指がそれぞれ、1フレット、3フレットにあることを指します。コントラバスでは弦が太いので押弦する時に、エレクトリックベースよりも一般的に体力を使います。なるべくその負担をなくすためにハーフポジションで開放弦 (E,A,D,G)を駆使してウォーキングベースを作るので、このハーフポジションは重宝します。練習しだしてから、一弦にあるラ(Ab)や2弦上のミ(Eb)は完璧に頭に入りました。この頭に入るというのは無意識に指が動くことで、どこにその音があるのかを記憶することではありません。そしてその無意識に出したい音を出せる状態に、私たちの脳を持っていくには、音と音の関係性をインレイを使わない体感で覚えること&自分に制限を加えることの二つが大事だと思います。

 

単純に8−12フレットの間を普段使っているスケール移動するだけではあまり効果的ではありません。(勿論やる価値は絶対ありますが)一番の近道は音と音の関連性をインレイに頼らずマッスルメモリーで見つけることです。その関連性を見つける例では10フレット、4弦のレ(D)を人差し指ではなく、小指で押弦してそこからメジャースケールやマイナースケールを練習したり、普段から行っているいつものスケールの左手のシェイプではなく、新しいシェイプやスケールパターンで音の関連性を探索してみることです。

もう一つの自分に制限を加えるというのは、8−12フレット間の音と3−5フレット間の音には互換性があるので、敢えて、3−5フレットを絶対使用せずに8−12フレットだけで音を出す!と意識して練習すれば、この指板を克服できるでしょう。

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似たような記事も前書きました↓ 気になった方はぜひ。

sethproton.hatenablog.com

 

Steve