Jazz Bass Blog

Exploring The World of Jazz and Low Note

エレキベースをアップライトベースの音に近づける8つの方法 / 8 Ways To Create Your Bass Guitar Sound Like an Upright

"温かみのある音" "木から鳴り出す豊かな音" "自然な深みのある音" "丸みのある音"...etc

ベースギターの製品紹介にはこれらの謳い文句が見飽きる程書いてありますが、その特徴を持つ楽器を考えると、アップライトベースがまず候補として上がります。そしてジャズ系の音楽に興味がある方は欲しい音の特徴ではないでしょうか。でも、アップライトベースを始めようにしても値段が値段だし、エレキベースより難しそうだし、という理由で手を出しにくいと思う人が多いと感じます。そこで今回はどうしたらエレキベースアップライトベースに近づけられるかリサーチしてみました。8つの方法をご紹介します。

 

1. イコライザを調節する(プリアンプを使う)

アップライトと言えば迫力のある低音です。ベースについてるEQのトレブルのトーンはカットして、アンプに付いてるEQの低音を少しだけあげたいところ。ブライトなトレブルやミドルも少し減らすように調節した方が良さそうです。アップライトに音を近づけられるプリアンプ(Crimson Red Preampなど)もマーケットには出ているので、そちらを試してみるのもありですね。
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2. 弦高を少し高めに調整する

基本弦高の高いアップライト同様、音が綺麗に響いてくれると思います。

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3. 指板の上で、指弾きする(PUはフロントを使用する)

メローなサウンドに近づけるならこの弾き方の方が、ブリッジ寄りで弾く音のタイトさが出る弾き方より良いと思います。ピック弾きは音が明るくなりすぎてしまうので避けましょう。
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4. 45度の角度で指を一つ使って弾く

アップライトで使われる奏法を採用することによって、よりファットな音を得ようという試みです。これだけでも音の輪郭が変わります。45度というのはこのような角度になります。
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 元のアップライトの弾き方がこれなので

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この角度で、指板の上で、指を一本で弾いてみて下さい。指のつま先より、指の横全体(第一関節、第二関節あたりまで)を使って弾くと音が太くなります。

 

5. フラットワウンド弦かブラックナイロン弦を張る

アップライトベースは弦のテンションの緩さからくる低音の響きを出します。フラットワウンドでも良い音は出ますが、オススメはブラックナイロン弦です。なぜなら他の弦よりテンションが低い上にサスティーン(音の伸び)も少し短いので、アップライトに近い独特の音作りに一役買ってくれます。


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6. Gruv Gear の Fump をブリッジ付近に付ける(普通のスポンジでも可)

前回の記事でも書きましたが、このツールはサスティーンを殺すのに役立ちます。音の伸びが無くなるので、結果的にヴィンテージ感のあるアップライトベースに近い音が出ます。音に大きな変化があるので簡単にできる改造の中ではかなりオススメです。詳しくはこちらをどうぞ。付けるだけで音がアップライトベースっぽくなるギア?/ Product Review: Gruv Gear Fump - Jazz Bass Blog
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7.フレットレスベースを使う

アップライトの丸い柔らかな音はフレットレスならではの音でしょう。フレットレスにはフレットレスを。アップライトに近づけるサウンドという点では、多分フレットレスの恩恵が他のどの改造よりも大きいかも。
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8. ボディーにホロウの付いてるベースかアコースティックベースを使う

アップライトの箱鳴り感を再現したいならば、箱のベースギターから鳴らすべきでしょう。目には目を、箱には箱を。

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 番外編: Uベースを買う

改造・テクニックではなくなっているので除外しましたが、手っ取り早い方法はKalaから出てるウクレレベースを買うのも選択の一つとしてはアリです。このベース、リーズナブルな値段な上に素晴らしい低音を備えています。More Bass, Less Space(更に少ないスペースで、更なる低音を)とKala自身がキャッチフレーズを出してるだけあって、音はアップライトに非常に近く太い低音がします。あなたがこの見た目を許せれば、ですが。


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 以上です。最後のKalaのベースのは宣伝みたいになっちゃいましたが、音は予想以上にアップライト感あります。問題は見た目なんですよね。普通のベースギターのスケールで出してくれないかな。他にもテクニック、改造等のオススメとかありましたら教えて下さい。それではまた。

 

Steve

付けるだけで音がアップライトベースっぽくなるギア?/ Product Review: Gruv Gear Fump

前回の記事を書いた後に、ギアを語るのは少し億劫ですが、この製品についての日本語のレビューが皆無だったので、レビューしたいと思います。

 

このGruv Gear のFumpというギアはブリッジミュートテクニックの音を手を使わずに再現できるツールです。
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ブリッジミュートテクニックとは、手のひらをブリッジ付近に当てて親指と人差し指で弾く方法ですが、親指人差し指だと弾きづらい人もいると思います。そこでこのツールが役立ちます。

 

  初代のエレキベースにはブリッジカバーの裏にスポンジが付いていて、サスティーンを抑えることによってアップライトのサウンドに近付けていたそうですね。最近はカバーすら取り外されてしまっていますが。

なので、 取外しやすさという点を気にしなければ、Fumpの代わりに普通のスポンジでも代用できます。


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 横はこんな感じになってます。

マジックテープの片面だけを両面に合わせたような構造です。

 

実際につけてみました。



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工具一切無しで付けられるのは良い。オレンジのタグは見た目に合わなかったので外しました。

 この形状をしているので、普段はストラップにこれを付けておいて、ヴィンテージなサウンドが欲しいときに付けるといった使い方もできます

Fumpを付けて演奏している動画ありました。(演奏は3:50〜から)

 

www.youtube.com

 

 

流石に本物のアップライトの音に完全には近付きませんが、音の減退する感じが少し近くなります。ジャズをやる人には結構オススメです。私自身もウォーキングベースを頻繁に弾くので、購入して良かったと感じます。

 

GruvV Gear Fumpはアメリカで$19.99で販売されています。

 

 

 

 

 

Scott氏の語るギアばかりに執着してはいけない理由/Why You Shouldn't Focus On The "WRONG" Stuff

何故"間違ったこと"にフォーカスするべきではないのか。

タイトルは、オンラインベース講師で人気を誇る、Scott Devine氏の動画タイトルから。

www.youtube.com

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Scott氏が経営するオンラインベースアカデミー、SBL Academyでは1日に約150件のメールが来ます。その150件の内容のほとんどが、彼がレコーディングのセッションをした際の、ベースや弦、アンプなど機材についての質問だそうです。そして、とある1日の150件のメールのうちのたった二人が、彼の即興テクニックやベースラインの構成についての質問をしました。

 

「実際の音に影響することにフォーカスをしないのは、本当に簡単なことだ!」

 

Scott氏はギアに執着することを、ギア・アクイジション・シンドローム(Gear Acquisition Syndrome) と呼び、彼も過去に体験したストーリを告白します。彼が若い時にニューヨークで修行を積んでいた頃、彼の尊敬する一人の有名なベーシストのアルバムを一年中聴いていました。Scott氏はそのアルバムの音作りに感銘を受けていて、何が音作りの本質に関わるのか気になっていました。そしてニューヨークでその有名なベーシストのベースに触れる機会があり、実際に試奏したみたところ、彼がアルバムで聴いた音作りとは全く異なる音だったそうです。その音は、そのベースを弾いた自分、ただそれだけだった、とScott氏は表現します。

 

Scott氏は、多くのトーンはベースを弾く奏者自身から来るものだと語ります。

 

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Scott氏の動画内でよく登場する、高価なフェンダー・カスタムショップのPベースがあります。これについても毎日、メールで沢山の問い合わせがあるそうです。何故その素晴らしいカスタムベースを、メキシコ産の赤いプレシジョンベースよりもっと多用しないのか? といった内容です。

Scott氏はそれに対して、ある一定の値段を超えたら、楽器の音の違いを聞き分けるのは難しいと答えます。フォデラやケン・スミスのようなハイエンドのベースの拘りや造りを彼は賞賛する一方で、ただ値段が高いからといって音が向上するとは限らない、と主張します。

そのある一定の値段をScott氏は、800ドルから900ドル以上からだと推測します。この価格帯からチューニングのズレないヘッド、しっかりしたブリッジ、いい音を作るピックアップ、エレクトロニクスがあると語ります。彼は60万近くのベースを何度も演奏してきて、その値段帯であっても音があまり良くないベースに当たったそうなので、20万や30万のベースもリターンはあまり大きくないので勧めない、と言います。

 

彼は若い頃に新しいギアを買うことで、インスピレーションを受けて、一定の間、練習量が少し増すこともメリットとして指摘しています。しかし最終的に多くの音作りは演奏者自身でするものなので、数十万のベースを購入したからといって、音が良くなるとは期待しないことだ、と結論付けます。

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いかがでしたか? 私もボディビルを行っていた頃は、周りがどんなブランドのギア、ベルト、ニーラップ、サプリを使っているかをもの凄く真剣に考えて、欲していた時期があったことを思いました。ベースを弾くことを趣味としている今でも、あれこれ買えたらな、と思うことがあります。特に、音楽は音が命なので、音を生むギアに拘るというのは理にかなっています。しかしそのギアを追求している間にどれだけの練習ができたかと思うと、時間を無駄にしているようも思えます。ギアは拘りだすとキリがないので、どこかで区切りをつけて、練習に励みたいものです。

 

Steve

 

6弦ベースの2つの"変わった" 長所と短所 / Two "Odd" Pros and Cons of Playing 6 String Bass

 


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六弦ベースを使い始めて約二週間が経ちました。ここでは、私が思った多弦の長所 短所を軽く綴ります。が、ネットには既に、六弦についての普通の長所短所は載ってると思うので、あえて変わった見方から感想を述べます。

 

 

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短所 1: 音がアクティブなので人によっては使いづらい

六弦のほとんどがアクティブサーキット搭載ではないでしょうか。前回の記事で   Douglasのサウンドを絶賛しましたが、私のジャズ系レパートリーにはアクティブのサウンドはうまくマッチしませんでした。どうしても音がギラついてしまうのです。スラップとアクティブは相性が良いのですが、そもそも六弦は弦間が狭くスラップやり辛いです。 しかしこの短所(?)はアクティブ/パッシブのOn/Offスイッチがあれば良かったというだけの話でしたね。

 

 

短所 2: 1弦の音が弱い

1弦で例えば、運指をしながらウォーキングベースの延長線でG,G#,A,Abのクロマティックアセンディングを弾いたとします。やはり出る音は2弦で弾く音と全く違うのです。音が軽い。六弦は運指が楽だから、普段は左手は指板の真ん中あたりを縦移動します。その過程でウォーキングベースを弾いているときに先程の例のようなクロマティックノートを弾くと音の迫力の無さに少しガッカリします。これも弦のゲージを変えるとか、人によってはその音が好きだったりするので決して短所と断言できるものではないですが、左手の縦移動ができる六弦ならではの悩ましいところだと言えるでしょう。

 

 

それではここから長所です。

 

 
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 長所1: 様々な新しい発見がありスキルアップに繋がる

この一風変わった長所のために、六弦を買う価値があります。4弦ベースの為に六弦を買うのです。漠然としている長所ですが、説明をさせて下さい。まず、六弦はスラップがし辛いです。弦間が狭いので、親指の振り下ろしが慎重になります。なので、あえて六弦でコンスタントにスラップを練習すると、普通の4弦のベースに戻ったときのスラップのやりやすさは断然違います。きっと4弦に戻った時に、右手の使い方が格段に上達していることでしょう。

 

あと上下に弦が2本も追加されているので、両手タッピングのし易さ/楽しさ も素晴らしい。そこで、タッピングを楽しくなって1日中やっていると、「あれ?これ普通のベース(4弦)でもできそう?」と疑問を持ちます。そこで六弦で学んだ、右手左手独立のピアノタッピングやコードパターンタッピングの技術を4弦にも応用するとスキルアップが図れます。

他にも、ギターalikeなソロができるので、ハイフレットポジションで弾いてみると様々な運指の仕方が発見できます。それを全て4弦に応用させればインプロヴィゼーションが上達します。

他にもミューテングテクニックが上達したり、六弦のネックの厚さに慣れるので、4弦の運指が更にスムーズになったり、と沢山のスキルアップに繋がる機会が潜んでいます。

 

長所 2: 周りから注目される 

テクニカルなプレイヤーだと思わます。会話のきっかけにもなります。

私の大学のアンサンブルでは、私が六弦をカバンから出すやいなや、教授が興味津々で、弦のチューニングはどうなっているのか聞かれました。同じバンド内のアップライトベース演奏者やギターの演奏者からは試奏させてほしいと頼まれました。それぐらい、多弦ベースはあまり見かけないものなので、周りから視線が集まることでしょう。いや、もしかしたら近い将来は六弦がスタンダードになっていて、そうではなくなってくるかも。楽しいので、注目されるうちにされましょう。

 

 

以上です。長所1を書いている途中で感じたのですが、ベース以外の楽器、ピアノやらドラムを練習すれば更にベースのスキルアップが図れそう。他楽器から学べる事の豊富さは偉大ですね。

 

【ベース】4フィンガーピッキングをする時にあると便利なもの+やるべきこと/Things That You Should Have & Try For 4 Finger Style Plucking

こんにちは。前回の4フィンガーの記事のアクセスが思った以上にあったので、久しぶりに続きを書きたいと思います。

sethproton.hatenablog.com

 

今回はタイトル通り、私が4フィンガーを練習し始めて、あったら便利な物や事、やってよかった練習をテーマにします。

 

1.弦高を低くする

4フィンガーをする上でまず重要なのは右手の速さです。その速さを求めるために弦が高すぎては、指に引っ付いて止まりやすくなってしまうので、うまくトレモロを連続して出せないと感じました。現高を低くするとこで劇的にピッキングがし易くなるでしょう。

ちなみにオンラインベースギター講師で有名なMark Smith氏が、4フィンガーを極めたUKのベーシスト、Mike Flynnのベースに触れたときにコメントを残していました。「彼は僕が今まで手にしたベースのどれよりも弦高が低かった。」

 

 
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2. フィンガーランプを設置する

フィンガーランプというのはピックアップの横、弦の下につける板のことです。これがあると指が必要以上に潜り込まないので、ピッキングが素早くなります。普段はつける必要は全くありませんが、4フィンガーの場合は、薬指まで使うので、ピッキングをする際に指の長さを整えられるこのランプを置くことによって、劇的にピッキング速度が変わります。


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PUの間の黒い板がフィンガーランプです。

 

自作する場合、板を買って切って両面テープで貼るだけなので簡単です。

ランプの高さはピックアップに合わせるといいと思います。

 

3. ヘアバンドを付ける

開放弦の共鳴を防ぐShredタッパー お馴染みのアレです。ヘアバンドを4フィンガーをする際に2フレット辺りに付ければ、共鳴が抑えられます。これは特にミューティングの難しいこのテクニックに活躍します。4フィンガーはスラップ同様、基本左手中指でミュートするのですが、多弦ベースを使っている時や、集中していない時に、中指だけではミュートが大変なので(右の掌でミュートする方法もありますが)ヘアバンドを付ければ音がクリアになります。開放弦が使用できる事とヘアバンドはトレードオフの関係ですが、開放弦を使わないのならオススメです。


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 4. 左右の手のコーディネーションを意識する

これは私が失敗して学んだケースなのですが、右手で高速ピッキングをする際に、単音だけ出すのではなく、左手のクロマティックノートと一緒に右手を練習するといいと思います。例えば、人差し指で抑えて、親指で弦をピッキング、中指で抑えて、人差し指でピッキング、薬指で抑えて、中指でピック、小指で抑えて薬指でピック。この一連の動きを連続してやることをオススメします。左手は1フレット4フィンガーで抑えて、右手はそれを一音ずつ出していく形。

 

スウィープピッキングでもスラップでもそうですが、最終的にこういった素早いテクニックは左右のコーディネーションが鍵なので、右手で高速ピッキングが出来ても左がついていけないと無駄になってしまいます。

他にも、右手の親指+人差し指を一セット、中指、薬指を一セットと考えてノートを刻むといいと思います。例えば、C を親指人差し指で出して、一オクターブ上のCを中指薬指で出す。あとはクロマティックノートを足したドリアンモード( 例:Cドリアンモード(+クロマティック)だと三弦をC, Db D, Eb,  二弦をE, F, F#, G , 1弦をA, Bb, B, C)は1フレットにつき1フィンガーでピッキングするので、左右のコーディネーションの良いエクササイズでオススメです。

 

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 5. スリーフィンガーの延長線だと考えない

 これも私が最初に失敗して時間を無駄にしたことなのですが、4フィンガーを3フィンガーの延長線上だと考えてしまうと、指を伸ばしてピッキングするイメージが先行していまいます。しかし実際は、4フィンガーをする際、指は丸めます。傍から見るとグーの状態。指の第一関節と第二関節は曲げてピッキングします。

音に関しても単音が響く2フィンガーや3フィンガーと違って、ゴーストノートでトレモロを響かせるテクニックなので、4フィンガーは2〜3フィンガーが使える場面ではあまり使えなかったりします。(Dominique Di PiazzaのようにKiller playerになれば別ですが)



 

以上です。高速トレモロで良い4フィンガーライフを。

1万6000円で買った新品6弦ベースのレビュー/ Product Review for Douglas WOB 826

ミネアポリスは寒い。でも慣れてきた。今は気温0度を寒いと感じ、10度近くになると暖かいと感じる。人間の適応能力は不思議だ。私がCAに居たとき、ミネソタ州から先輩が遊びに来た時があった。時期は真冬だったので、当然ながら歩行者は冬着を羽織っていたのだが、彼は半袖を着ながら、表情一つ変えずに「ここは暖かいね」 と言っていたのが印象に残っていた。今になって分かる。あれは強がりではなかった。

さて、タイトルにあるとおり、ベースの話です。新しく買った六弦ベースのレビュー。ちなみに私はギアに詳しい人間じゃないし、拘る人間でもないので(私の所持する残り2つのベースも二万以下) 素人目線のレビューになります。

 

購入に至った理由は、今のジャズ系のサウンドで六弦があると便利だと感じた。low- B(六弦目) はウォーキングベースラインの時に、low-D かEbを弾ければなと感じていて、Hi-C(一弦目)はメロディーライン弾いたりインプロヴィゼーション(即興)の時などにあると役に立つと考えていた。ああ、あと、私が今期、大学に作ったジャズクラブ、今人数少なくて(7人くらい)メンバーも不定期に来るから、ギターとかのコードをカバーしたかった。

 

 

 

Douglas WOB 826の魅力

最初に買うときは、Ibanezの506がずっと気になっていて、ebayとかで値段交渉してた。しかし六弦ベースを更に詳しくリサーチしていたら、Rondo Musicというのをよく目にするようになった。どうやらローエンドモデルに名声があるらしい会社だ。Talkbassのレビューを見てみると、評価も悪くなく、値段以上の楽器を作る会社だと聞いたので、この噂に一か八かで賭けてみようと思った。

 

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-お馴染みの石鹸ハムバッカーが、そのスタンダード性を主張するかのように2つ搭載されている。-

まず注目すべきはその値段だ。34スケールでアクティブピックアップ。$160でアクティブって既に価格破壊している。同価格帯ではないけど、一番安い六弦アクティブモデルって、Ibanezの206なんだよね。日本では販売してないけど。 それは新品が$300ドルぐらいなのだけど、ブリッジが安っぽいから買おうとは思わなかった。

 


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 (写真ではフィンガーランプがついている)
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Douglasは作りがその点非常にしっかりしてる。本当に$160ドルなのかと、目を疑うほどだ。ブリッジの機構はIbanezより酷くないから気に入ってる。更にボディーの木はフェンダーでお馴染みのアッシュで、ネックはメープル、指板はローズウッド。

EQは、ボリューム、ベース、トレブル、ブレンド。

 肝心の音は、アクティブらしい明るい音。スラップすると良い音、とでも言うのでしょうか。トーンをコントロールすればジャズにも使えるので、本当に欠点なしです。(※ちなみに弦はダダリオに変えました)


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ギターセンター(アメリカの大手ギターショップ)でESP LTDの六弦を試奏したときは音が、ギラつきすぎてすごい違和感を感じた/私の好きな音ではないと思ったけど、このDouglasは丁度いい。明るすぎず、ミドルも響く。 ネックもそのLTDより細く、使いやすさがある。ただ、Low-Bは音色では五弦に劣るところがあるけど、六弦目自体、あれば便利という感じなので、特に気にしていない。
あと、ボディが軽い。3.85kg で、私の四弦ベース、スクワイアより軽い。

 唯一の欠点は、これはハイエンドモデルとのボーダーラインなのだろうけど、チューナーが良くない。単純に安いから狂いやすい。毎回演奏するときはチューン必須です。

 

以上がレビューです。総合的にみて$160でこのクオリティは信じられないです。

ちなみにRondo Musicという知る人ぞ知るメーカー、$425でカスタムショップもやってます。完全に価格破壊してますね。
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ハイエンドモデルによくあるスルーネックやファンドフレット、独立構造のブリッジもオーダーできる(しかも全て$425で)ので、気になっている方は試してみるのも良いかもしれません。

 

 

Final Thought 

Rondo Music の楽器は素晴らしく、値段以上の価値があると思います。

 

 

追記(11/17/2016):最初に開封して、試奏した時に、指先が汚れることがありました。どうやら弦ではなく指板に埃がついているようなので、拭いて汚れを取るといいです。

 

音楽科について思うこと/Thought about School of Music

 



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私は今季、ジャズのクラスとラテンアンサンブルのクラスを取っている。音楽科でもない私がこれらのクラスを取ることは新鮮で、学ぶことが非常に多い。それはまるで異国の地に辿り着いたような感覚で、音楽科の建物に最初に入った時は、その変わった雰囲気から、初めてアメリカに来たことを思い出した。クラスを取る前はどうしてもジャズがやりたくて、学期が始まる前にアドバイザーに相談していたのだけど、どうやら、ジャズのクラスは3つしかないようで、そのうち2つがオーディションを必要とするジャズコンボとアンサンブルのクラス。残る一つはJazz Theory と言って所謂ジャズに関するアカデミックな音楽を学ぶのだけど、もちろん音楽科の大学生が対象だから、このクラスを取るには二つの必修科目(music theory とか)か教授の承認が無いと取れないようになっていた。私はどうしてもこのクラスを取りたかったので、アドバイザーには止められたけど、教授に取れるようにお願いしてもらって、そして今、このクラスで苦戦している。テストの点数が思うように伸びないのだ。

あの時散々アドバイザーに取るな、と言われた理由がわかった気がした。それはこのクラスがその名の通り、音楽科の三年生以上にオファーしているクラスだからだ。しかしながら、このクラスは私自身の価値にも気づかせてくれたクラスだ。

絶対音感/完全音感というのをご存知だろうか?

絶対音感(ぜったいおんかん、英語:perfect pitch)は、ある音(純音および楽音)を単独に聞いたときに、その音の高さ(音高)を記憶に基づいて絶対的に認識する能力である。狭義には、音高感と音名との対応付けが強く、ある楽音を聞いたときに即座に音名・階名表記を使用して表現できる能力である。

絶対音感 - Wikipedia

言葉通り、何も見ずに音階を識別できることだが、私にはそれがあった。どうやら幼い頃、ピアノを習っていたのが今になって役に立ったのだ。ただ、議論はある。絶対音感を先天的能力だとか後天的でも身につくだとか。今回はこのことについては詳しく触れないが私は後天的、つまり絶対音感は幼少期からのトレーニングによって発達するものだと信じている。

さて、この能力が私の今のクラスにどれだけ貢献しているかは、計り知れない。ただ、間違えないでほしい。私はこの能力を自慢しているのではないし、まるで自分を特別な人間だと思ってもいない。寧ろ私が特別だと思うのは、”彼ら”だ。彼らはすごい。一体どれだけの努力をしているのか私には想像もつくはずもなくー彼らのスキルは長期に渡る鍛錬から得られたものだろう。彼らのすごさは私が重い腰を下ろしてブログに書こう、と思わせるほどすごい。

それで、彼らの凄さの例なのだけど、Jazz Theory のクラスで教授がピアノで複数のコード MA 7th, Minor 7th, Dominant 7th, Suspension, Diminish (full dim or half dim), Augumented, MA6th, Minor 6th の中からランダムに選んで和音で演奏して、生徒が聞き分け、コードの名前を紙に書くテストがある。絶対音感を持つ私は個別の音を識別してから、コードを識別する。例えばC MA 7th であれば、CEGB) だから→C MA7th となる。対して音楽科の生徒はそのコードのトーンで識別する。(だから彼らがMajor 7th を聞いたと思ったら、X MA 7thと書く。)  完全に識別するプロセスが違うと感じ、驚いた。彼らはどうやって全体からコードトーンを識別することができるのか?絶対音感を持っていないから、コード一つ一つのトーンは識別できないはずなのに。それはまるで、リンゴを識別する時に、私は色が赤いと知覚したのでリンゴだと判断するのに対して、彼らは形を見てリンゴであると理解する。私は特別な努力をしていないので、そのリンゴの形が見えないが彼らには見える。しかし彼らはリンゴの色をうまく識別することはできないのだ。でもリンゴだとわかる。非常に不思議な話だ。

しかしながら、彼らがそれらの努力をしてきているのもわかる。彼らが単に音楽に対する情熱があるというのもあるが、キャリアの問題もある。偉大なる成功者は大抵大学の卒業式にゲストの演説者として呼ばれた時なんかは、「俺はこれが好きだから今成功したんだ!」なんていうエンスージアストが多い。彼らは賞賛を与えられるにふさわしい人間である一方で、好きというファクターをモチベーションにして成功する人間は一握りだというのも事実だ。私が経済学をメジャーにしているのも、最初は就活がしやすそうという漠然とした理由からだったが、リスクを考慮すればそれは悪い選択肢と言えなくもなかった。しかし音楽科でDegreeをとるならば、職を手にし、成功するという限定的な条件下ではリスクは高いように思えるのだ。だから彼らが自分の能力を少しでも伸ばし、他人と違いをつけるために必死になっているのもわかる。私にはその覚悟がなかった。好きだからといって、それを選択してうまくいくほど社会は簡単な構造で成り立っていないと思う観念が頭にあった。

 

もう一つ、最近、深い言葉を教授から聞いた。私が教授に質問した時だった。「例えば、自分がimprovisationしていて、Dominant 7thのコードを見つけたら、Altered Scaleを使おうとか、頭の中で常に考えているのですか?」と。

彼は言った。"When great players do improvisation, they think really hard to not think" (偉大なミュージシャンが即興する時、彼らは考えないようにするために考える)

偉大なミュージシャンたちは、即興する時もはや考えもしないだろうから、教授が自身に当てはめて言ったのだけど、奥が深すぎる。

 

結局、ジャズというのは一体なんだろう。クラスが終わり、音楽科の建物を出るときにいつも思うことだ。子供の頃聞いた時は、こんなの皆適当に演奏してるだけじゃん!って思っていたけど、今はそのジャンルの複雑さが、音楽理論によって少しづつ紐解かれていく感じがする。それを完全に理解できるまでは、まだまだ先の話になりそうだ。