Jazz Bass Blog

Exploring The World of Jazz and Low Note

ウッドベースと弦のテンション、弦高と演奏者の体格の関係について

 

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ウッドベースコントラバス関連の日本語のサイトが少ないこと少ないこと。英語で検索してもYoutubeを見ても話題に出している人はかなり少数。

 

ウッドベースの弦のテンションや弦高について最近悩んでる。というか、始めた時からずっと悩んでる。クラッシックのオーケストラをやってれば、弓でさらにローポジションを多様するからそこまで弦高やテンションに拘るという人はいないのかもれしないけど、ジャズのウッドベースの基本原則は、弦高高めで駒の近くを弾くことが良しとされているのだけど、それがどうもうまくできない。

 

まずとにかく弦高が高くては演奏がしずらい。とくにハイポジションやA弦、E弦。

ふと自分のウッドベースの弦高が低くて、フレットバズも少しあるし、鳴りが悪いかな?なんて思って近所のバイオリン屋に行って駒の高さを直してもらったら、弦高と何故かテンションが逆に高くなってしまって、A弦でリズムが全く取れない状態になった。要するに自分の指が弦のテンションの強さと弦高に耐えられなくなった。

 

その弦高高い状態+高テンションで何日間練習してたんだけど、どう考えても改善される兆しが見えない。

 

結局、駒の高さとテンションを直そうと、ググって調べてみたらこんな記事があったので、参考にした。ありがとうごさいます。

imasashi.net

 

要するに駒を指板から離すと物理的にテンションがゆるくなるという事をこの記事では語っていて、なるほどなぁーと思って私も試してみたら、結果弦のテンションは下がっていい感じに。

 

弦高と演奏者の体格の関係について

 

で、弦高についてなんだけど、前述した通りジャズには、ひとつマスキュラリティーな定説というのが蔓延してる。それは弦高が高ければ高いだけ音がよく響いて、良いみたいな。確かに、一つのウッドベースの特徴として、少しでも弦高をあげると、顕著に音が増幅されるのが分かる。ということを考えると、昔のベーシストなんかはアンプやマイクの発達していない時代にドラムやサックスにかき消されないようにボンボン鳴らしてたわけだから、かなり弦高は高いと言えるのではないだろうか。例えば、デュークエリントンのビックバンドに所属していたジミーブラントンや、マイルスのバンドにいたポールチェンバ−スなど、とてもアクースティックで芯のあるサウンドが特徴的なんだけど、彼らの、他の楽器に負けないビックサウンドってやっぱり彼ら自身が文字通り巨人だったからではないだろうか。だから、彼らの巨大な手から繰り出されるピッキングは、弦高のめちゃ高い駒付近をピッキングしても問題なかったのないだろうと推測される。

 

偉大なジャズベーシストの一人であるジョン・パティトゥッチはあるセミナーでこう語っている。

www.youtube.com

 

42:54〜

僕が周りの指が長いベーシストたちを見た時は、僕は一生良いベーシストになれないと思ったよ。自分の指は長くないからね。僕の最初にレッスンを受けたクラッシックのコントラバス奏者チャールズの指はデカいソーセージのような指を持っていたんだ。

43:16〜

でも一番大事なことは、右腕に絶対力を入れてはいけないことだ。もしあなたが(弦高に苦戦しながら)力を込めて弾いているならそれは良くないサインだね。弦高が高くなくても大きいサウンドは手にいれることができる。ミルト・ヒントンやレイ・ブラウンロン・カーターも弦高は普通だったけど、彼らのサウンドは美しいよ。

 

高身長のロン・カーターが弦高低いのにはちょっと意外だったけど、ジョンのこの話は説得力ある。ジョンは他にも、弦高をあげれば上げるほど、音が増幅するというのではなく限界点があるというのも指摘していた。

 

要するに自分の体格にあった弦高とテンションを見つけるのが一番良いというのが結論。私の体格はジャズベース巨人のような体格ではないので、ローアクションで自分のサウンドを追求していきたい。

 

Steve

ウッドベースをはじめて半年が経過した。

ウッドベースをはじめて半年が経過した。

去年の12月末ぐらいから大学で保管されているベニヤ板のコントラバスを、一学期$35という破格のレンタル料に感動しつつ、生まれてはじめてクラッシックの弦楽器に触れる機会を手にした。ところがそのベースは超安物で全く音がしないものだったから、速攻、近所のバイオリン店でマシなやつをレンタルする。(その安物のおかげで早い段階から右手と右腕の使い方で正しい音の鳴らし方というのに気付けた)

 

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この半年を振り返ると色々なことをやった。

ビバップの定番チューンでもあるDonna Leeのメロディーを200bpmのテンポでやったり↓

www.youtube.com

ひたすらポールチェンバースの曲をコピったり↓

www.youtube.com

左手の運指も、まだ力入っているが多少見れる範囲にはなってきた。自分ができる範囲でテクニカルな方面にも焦点当てたりして、建設的な練習ができていると思っていた。(だけだった)

 

そう、思っていただけだったのである。

 

先日、鼻高々、自信満々でジャムセッションに飛び入り参加したら、ビバップの自分の知らない曲を200以上のbpmを演奏する羽目になり、演奏中、右手左手が攣りそうになって死ぬ思いをした。演奏中はこの悪夢はいつまで続くのか等といったことを考えていた。

 

そう、この半年間、ウォーキングベースラインまっーたく練習してなかったのである。

思えば、一年前にエレクトリックベースをはじめて、ウォーキングベースラインもエレキで練習し始めて、最低限はそこそこできるようになった。

でもなぜか、エレキ→アップライトに変えてからは全く歩行ベース線をサボりベースソロの研究ばっかしてた。これでもかというぐらいチェンバースのソロの研究をしていた。(チェンバースのソロについては後日、別の記事で書きたい。)ハナっから他人を支える気0ベースマンが完成されていた。しかしチェンバースのソロは魅力的すぎるから、この点についてはチェンバース本人も批判されて然るべきだ。

 

このサイドマンを放棄したサイドマンを、ジャズドラマーで例えるとすると、リズムやスィングを磨く練習そっちのけで、自分のソロだけを半年間ずっとドラムをひたすら叩きまくって練習してるという異様な光景に言い換えられる。

 

自分がベース奏者としてソロ楽器を支えるということをすーっかり忘れていた点は、出しゃばりな性格があるからか。現実は観客が焦点を当てるのは花形楽器、又は、聞いてもウォーキングベースラインが殆どであって、ベースソロなんていうのは一般的にニッチなものに分類される上、曲1つで見た時、全体の10%にも満たない長さである。こういった現実をベーシスト・インフェリオリティか、それともベーシスト・アイデンティティとして捉えるのかは自由だが、ジャズにおいてバンドを下から支える低音の役割がめちゃくちゃ重要だという事実は揺るがない。

 

でもここまでウォーキングベースラインを練習する大切さを軽視したのには、やはりエレキベースという楽器を最初に始めたからだと感じる。エレキベースでやるウォーキングベースラインはウッドベースと比べると難しくない。というか、エレキベースという楽器自体、4弦でとっつきやすいモノだし、普通のギターに比べれば、単純明快な楽器だ。

 

そんなノリでウッドベースを手に取ってみたが、まぁエレキと違って体力を消耗するオンパレードだ。前述の通り、ジャズクラブのセッションなんかで、知らない曲+200bpm以上のテンポという悪夢のコンボを出された日には、コードを目で追ってついていくだけで精一杯だったから、自分のソロの時にはHPが1ぐらいしか残らず、ヨボヨボの年寄りとも似つかない左手の運指でソロを実行することが殆どだった。

 

ということで、今日から練習を360度、720度方向転換する。ソロ分析は全部やめて歩行ベース線にシフトする。400bpmのテンポの曲を初見でも変顔作りながら、周りの音をしっかり聞けるようになることを目標にしたい。

 

Steve

 

 

ベースギターの苦手な指板のポジション? / The Uncomfortable Position on Fretboard?

先日、興味深い記事をJazz Guitar Blog さんのブログから拝見させて頂きました。

jazzguitarspot.com

記事の内容は指板上に存在するバミューダトライアングル、つまりギタリストが苦手とする指板上のポジションをコミカルに表現した内容でした。ユーモアがあって面白いです。

しかし指板の苦手なポジションはバミューダトライアングルであれ何であれ、存在するのは事実です。それは私も苦手としていたポジションで8フレットから12フレットの間になります。

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↑位置で言うとここら辺です。

どうやら共通意識としてこの8ー12フレットのポジションで弾くのが0−5フレットのポジションよりも自信がない人が多いようです。でもそれって何故なのでしょうか?

その理由とそれを克服する対策を今回は考えてみました。

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理由1:インレイの視覚的弊害

ベースギターにはインレイというポジションマークが付いています。私たちがベースギターを始めて手にする時に3フレット3弦のドという音(C)を人差し指で抑えて薬指か小指をレの音(D)で抑えるという形、つまり、ドをルート音にスケールや音の構成を構築していくケースが多いのではないでしょうか。そしてそのドの音やレ、上にあがって4度のファ(F)やソ(G)にはインレイ付いています。さらにルート音をドとして捉えてインレイを目で追っていくやり方で、メジャースケールやマイナースケールを、開放弦を使用せずに、左手のストレッチを極力しない弾き方で、3−7フレットの中で弾くとします。すると、例外なく、一度、2度、4度、5度の時にインレイを抑えます。この人差し指と小指または薬指にインレイがあるという視覚的感覚に加えて、半音(Db, Eb, F#,Ab, Bb)にはインレイがないと認識する感覚が初期の段階で身についてしまったから、これが弊害になっているのではと考察できます。8フレットから12フレットの間には前述のド(C)やレ(D)にインレイは存在しません。半音階のド#(C#/Db) やファ#(F#/Gb) 等にインレイが配置されています。

 

 12フレット以降のインレイの配置は、0−5フレットの配置と全く同じです。だから12フレット以降の指板のポジショニングは迷いにくいのでしょうね。

 

理由2:使用する頻度が他のポジションと比べて少ないから

ルート音でバンド内を支えることは、ベースギターの役割の一つです。その点を踏まえると、高音より低音に素早くアクセスできるポジションが使われやすいと推測できます。従って8ー12フレットを使用するよりも、低音にアクセスしやすい3−5フレットを使用する頻度が高いと言えます。例えば同じド(C)でも8フレットのド(C)より3フレットのド(C)の方が使用する頻度は高い筈です。ジャズのウォーキングベースラインを構築する上でも3フレットの上に存在するド(C)は頻繁に使います。さらに前述した通り、インレイも3フレットのド(C)にはありますから、それに慣れて気楽に使える、という人が多いと思われます。

 

理由3:8ー12フレットの音は3−5に比べて音色が違うから

同じド(C)でも3フレットの方が8フレットのド(C)よりサスティン(音の伸び)があります。8−12フレットにある音は1弦を除けば、0−5フレット内で全て出す事ができます。こういった互換性がある中で、音色という点で8−12フレットの音が0−5フレットの音に劣るから使用する頻度が少ないのではと推測できます。実際の例としては、ベーシストの行うスラップで8フレットあたりを弾いても、0−5フレットと比べると、弦のテンションが違うので全く気持ちよくない事が分かります。こうした理由から使用する頻度が少なくなるのではと考察できます。

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まとめると、インレイの視覚的弊害や、音色の選択、これらが8−12フレットを使用する頻度を低下させ、この間の指板上の押弦の自信を低下させているのだと思います。

 

8−12フレットはジャズのソロでは最も重要なポジション

ジャズのソロではアルペジオ主体のフレーズをソロの時に多用します。8−12フレットあたりのポジションは4弦のベースギターがポテンシャルを一番発揮できるポジションです。なぜかというとCのキーのダイアトニックのアルペジオを左手のシフティングをほぼ無しで演奏できるからです。詳しくはこの動画の10秒あたりを参考にしてみてください。

youtu.be

どうすればこの8−12フレットの苦手なポジションを克服できるのか

 結論としては、考えながら練習することだと思います。私の体験談からですが、ジャズを始める前には指板上の1フレットの一弦にあるラ(Ab)や2弦上のミ(Eb)を覚えるのに何故か苦労しました。どちらも半音だから頭に入りにくかったのでしょうか。そしてコントラバスを始めてからは、指板上のハーフポジションを嫌でも練習しないといけなくなります。ちなみにハーフポジションというのは人差し指から小指がそれぞれ、1フレット、3フレットにあることを指します。コントラバスでは弦が太いので押弦する時に、エレクトリックベースよりも一般的に体力を使います。なるべくその負担をなくすためにハーフポジションで開放弦 (E,A,D,G)を駆使してウォーキングベースを作るので、このハーフポジションは重宝します。練習しだしてから、一弦にあるラ(Ab)や2弦上のミ(Eb)は完璧に頭に入りました。この頭に入るというのは無意識に指が動くことで、どこにその音があるのかを記憶することではありません。そしてその無意識に出したい音を出せる状態に、私たちの脳を持っていくには、音と音の関係性をインレイを使わない体感で覚えること&自分に制限を加えることの二つが大事だと思います。

 

単純に8−12フレットの間を普段使っているスケール移動するだけではあまり効果的ではありません。(勿論やる価値は絶対ありますが)一番の近道は音と音の関連性をインレイに頼らずマッスルメモリーで見つけることです。その関連性を見つける例では10フレット、4弦のレ(D)を人差し指ではなく、小指で押弦してそこからメジャースケールやマイナースケールを練習したり、普段から行っているいつものスケールの左手のシェイプではなく、新しいシェイプやスケールパターンで音の関連性を探索してみることです。

もう一つの自分に制限を加えるというのは、8−12フレット間の音と3−5フレット間の音には互換性があるので、敢えて、3−5フレットを絶対使用せずに8−12フレットだけで音を出す!と意識して練習すれば、この指板を克服できるでしょう。

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似たような記事も前書きました↓ 気になった方はぜひ。

sethproton.hatenablog.com

 

Steve

 

ウッドベースのピックアップ Realistのレビュー/Product Review: Realist Transducer For Double Bass

 

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 ウッドベースのピックアップにお金は出し惜しみしてはいけませんね。実は前回使っていた格安ピックアップはShadowのSH-SB1(確か$40ぐらい)というもので、駒のウィング部につけるものでした。どんな工夫を凝らしても、生音からかけ離れたエレキベースのような音がアンプから出てきました。

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 硬い音を出したい場合はこれを使うのもアリでしょうが、私の演奏するジャズのシーンでは今のところ必要のない音です。そこでRealist を購入してみました。

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このRealistのTransducerはピエゾピックアップの代表作とも言えるもので、この市場ではおそらく一番有名なピックアップではないでしょうか。

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取り付けはこのようにE弦の駒下に挟んで固定します。ウィングにつけるタイプと比べると手間ではあります。

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ジャック部分も弦のボールピースを通す部分があるので、マジックテープでブリッジの裏に固定するタイプよりしっかり固定されていて安定感抜群。おかげでシールドを引っこ抜いても手違いでピックアップが抜ける、といったアクシデントは防げそうですね。

 

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 全体的にシンプルですっきりしている。

 

見た目という点では、最近話題のMSPのマグネットで挟み込むピックアップより好きです。ボディからケーブルが垂れているよりも、しっかりと固定されていた方が安心感があります。 

 

サウンドについて

Realistというだけあって非常に生音に近い音です。何をもって生音と定義するかは人によりますが、少なくとも、SHADOWのようなエレキベースのエレクトリックな音に近いサウンドではありません。ウッドベース特有の柔らかくウォームな感じの音はしっかり出ます。他にも気づいたことは、高音よりも低音がよく響くと思いました。(駒の下のピックアップをG弦に近い足の下に載せれば高音を響かせられそうではある)アルコをしてもピチカートをしても、どちらもそれなりの音がでます。欠点という欠点もとくに見当たらず、堅実なピックアップだと思います。唯一の欠点は、カラッとした弦のアタック感など、指板上で響くウッドベースの音は出にくいところでしょうか。(完全に出ないという訳でもない)MSPのマグネット式ピックアップはそれらの音もよく拾うそうなので、それも近々試してみたいところです。

 

 

Steve

 

ギターにインレイ(ポジションマーク)は必要ない/ Inlays On The Fretboard Aren't Necessary

今回はジャズの即興におけるインレイの有無について書いてみる。

 

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ジャズにおいて最も難しく、重要なことは、脳で考えてある音楽を、筋肉や神経を通して楽器にできる限りその音楽を壊さずに伝達することだと思う。

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当たり前だけどウッドベースの指板にはインレイどころかフレットは存在しない。だから自分の耳と練習で培った手のポジション移動で音を見つけることになる。でも弦楽器だから指板上には”形”が存在する。メジャースケールの形、マイナースケールの形、アルペジオetc...。色々な形が存在してそれに沿って即興を行うことも多い。ただ、ウッドベースで即興を弾いている自分と、エレキベースで即興を弾いている自分には決定的な違いがあった。それは脳が楽器とうまくリンクしている度合いだった。

 

ウッドベースの場合、当然演奏中は基本的に指板は見ないから、頭の中のアイディアが直接楽器に伝わる感覚があった。だけどエレキの場合、指板やインレイを目視してしまいそのリンクを遮断していると感じた。

 

インレイが即興の邪魔をする。そう感じたのは最近になってからだ。

ちょうど自分の演奏動画をとって、それを再生してみると、指板を常に覗き込んでいる自分が映っていた。それから、指板について意識しだしてから、こう思い始めた。”インレイが自分のソロを妨げている”と。ウッドベースと対比して、自分がエレキベースで即興を生み出すプロセスは全く異なっていた。まず、自分の目がインレイを捉える。それで位置を確認して、バックから流れてくるコードに当てはまるフレーズを頭の中で考えて演奏する。このプロセスの一貫は無意識的で、一瞬で行われるものだ。だがこれでは楽器と脳が直接繋がる理想形とは言えない。指板の視覚的情報が指示を出して、脳がそれを受け取っているのだった。それを防ぐ手段として、即興中に弾こうとする音を歌うことがあるけど、ずっと歌い続けるのもなかなか大変だったりする。

 

インレイが決定的にジャズの妨げになる理由はもう一つある。それはインレイがあるかないかで、音の覚え方に違いが出る。インレイが存在する安心からか、音と音の指板上の関係性を意識しないで演奏できてしまう。例えば、ド(C)という音が合って、ギターを演奏する時に見る視線からみてみると、斜め一個上にミ(E)が存在する。それは何故かというと、ミ(E)はド(C)の3度だからである。こういった繋がりをインレイは排除する。ポジションマークの位置と距離から、無意識的にド(C)とミ(E)の位置を考えてしまいがちである。例えば、フレットを縦方向で見た時に、インレイがないからそこはナチュラルである可能性が高いから指が抑えることが出来るポジションだと錯覚してしまう。前述の例だと、一般的なベースギターの場合、2/3の確率でインレイが付いている縦列はCの可能性が高い。だから、ギターを始めた頃は、それに助けられるけど、最終的にはそれが障害に繋がる。自転車でいう補助輪のようなものだと思う。最初は役に立つが、補助輪付きではスピードはでない上にスムーズに動かない。

 

人の能力は制限がそこにある時にはじめて鍛えられる。逆もまた然りで使われない力は自然に排除される。日常生活では、使われない筋肉はどんどん衰えていくし、数学の計算も普段からし続けないと、公式を忘れる。だからコード音を識別するといった能力や、フレットの上にある音の位置やそれらの関連性を覚えるといった能力も、自分を練習する環境下に身をおいて'制限'しないと備わらない筈だ。

 

インレイ無しのギターで音の関連性を練習するのも全くそれと同じメカニズムだと感じる。インレイありだと無駄にフレットを凝視してしまう、それはつまり無意識的に楽器と脳のリンクを遮断しているのではないだろうか。だからインレイ無しのギターで音探しを鍛える必要がある。

 

最終的には、指板を見ない、というのがギターと脳をリンクのには一番適していると思う。なぜなら、脳がアイディアを構成して、それを腕や手が表現するという構図ができるからだ。そこに視覚という第三の情報は補助的に作動するべきで、メインとして意識が使われるべき要素ではない。例えば、ジャズスタンダードの本にある曲のコードや、メロディを見ながら演奏するより覚えて演奏する事の利点が多い理由は、自分の意識が視覚という情報に使われているからだ。見ないで演奏できればその意識を自分のリズムや即興に割り当てる事ができる。

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ただ、前述ではウッドベースエレキベースと比較して例に出したけど、ウッドベースはヘッドからボディに繋がっているネックまでの指板の距離が短いから、指板を見ないでも左手のポジショニングをスムーズに行う事ができる。対照的にエレキベースはヘッドからボディに繋がるネックまでの距離が長いから、指板を見ないで左手のポジションを変更するのは難しい。(これについてはジャコ・パストリアスも指摘していた)

 

だから提案として、ポジション確認するなら指板のサイドについているポジションマークで十分じゃないかなと思う。指板にインレイがなくてサイドのポジションマークのギターで練習するとした場合、そのポジションマークの縦方向の音やそこから広がる横方向の音の関連性を暗記できる。従ってインレイが指板に直接付いているよりも、音の関連性を覚えるという意味では断然効果的だと感じる。

 

 

Steve

 

フラット弦を長く使っていた私が、結局ラウンド弦に戻った3つの理由/ Three Simple Reasons Why I Ultimately Chose "Round" Instead "Flat"

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ジャズのため、と信じてずっとフラット弦を使っていた私がついこの間、ラウンドに変えることにしました。

確かにフラットにはラウンドにはない独特の中低音の響きがあります。それに加えて、ラウンドほど高音がキンキンとした音がしないし、スライドした時に音が出ない。従ってジャズには最適だろうと考えて使っていました。実際に、アンサンブルの音としてみるとうまくまとまるのですが、欠点が3つありました。その一つがタッチの違いです。

 

フラット弦は弦に触れてから音が立ち上がるのが遅いので、自分が伝えたいと意図する’右手から出るダイナミクスがうまく伝わりにくいところがあります。その点ラウンドはそれが精確に出てくれるので、ある意味表現力に富んでいるとも言えます。

フラット弦のその立ち上がりの遅さの理由から、遅さを予期してプレイする必要がある、というのもラウンド弦に比べてストレスを感じたのです。もちろん慣れてはいたのですが、今自分が取り組んでいるコード奏法を取り入れたソロギターをする時にその立ち上がりの遅さから、的確な表現をするのが難しい。

 

 二つめの欠点はスラップです。

 フラット弦ではスラップしてもやっぱり様にならない。ジャズをメインにしていてもスラップする機会は絶対にあります。私は色んなアンサンブルを行き来しているので、やはりこのアンサンブルには、このジャズべ、このアンサンブルでは、Pベースのフラットで!といちいち使い分けるやり方が面倒でした。それが楽しい時もありましたが。

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三つめの欠点はソロギターに於いての高音の伸びです。

ソロでギターを弾いている時に高音が綺麗に伸びない、という点です。コードを弾いた時に、中音低音が強すぎて、高音が埋もれてしまうことが多くて、コード奏法に向いていないのもフラット弦の特徴の一つだと思います。例えば、親指、人差し指、中指をそれぞれ、4弦、2弦、1弦を弾くとして、フラットだと4低音の4弦が高音の1弦に圧倒的に勝ってしまうので、親指を敢えて軽いタッチで調節しなければならないのです。その加減が難しかったです。ラウンドだったら元から綺麗に高音が伸びてくれるのでそういった心配から解放されます。

 

 

最終的な結論としては、あらゆる場面で使えるのがラウンド弦>フラット弦という理由で、フラット弦を外すことになりました。人によってはそれを使い分けてこそ!と考える人もいますが、面倒くさがりな私はザラザラな弦をこれから使うことにします。

 

Steve

多弦や24フレットのベースギターついて考えてみる/ Thoughts About Multi-String Bass and 24 Fretted Bass

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 多弦や24フレットといったベースギターは今では全く珍しいことではないし、港でも良く見かける。でも本当に必要なのだろうか?

 

結局この問い対する最終的な結論は人それぞれであるし、どんな曲を自分が演奏したいか、という点に収束するので、主観を元に一方が正しいと議論することはできない。

 

 ***

 

 ジャズを演奏する時にハイフレットを使うべき or 使わないべき?と考えていたりすることがある。確かに音は基本的に、高音になればなるほど、メロディアスになるからそれに一度魅了されてしまえば、ローフレットに戻るのは難しい。その上、ハイフレットの方が当然のことながらフレット間隔が狭いので、全体的に弾きやすい。

タッピングだって多弦になると、単純に弦が増えてより楽しくなるし、使えるフレージングが増える。6弦であれば、右手左手を独立可動させて、ピアノのようなソロをすることだって出来る

 

自分の中のベーストラディショナリストは言う。”じゃあ普通にギター(ピアノ)をやればいいじゃん”

 

確かに。多弦や24フレットのベースのハイポジションを極めたところで、ギターの高音には到底届かないし、コードもギターのようにバラエティに富んでいない。タッピングに関してもまた然りだ。

 

それに加えて、ベース本来の役割を再び見直してみると、やっぱりハイフレットで弾くのは理にかなっているようで理にかなっていない。ベースはドラムとのコンビでリズムを作って、”ベース”ノートでハーモナイズして、ソロ楽器をサポートする。

 

話は変わるがジャコパストリアスのプレイスタイルはどうなんだろうか。彼はソロで巨大な左手がローフレットを動き回っていたけども、特徴的なベースラインと人工ハーモニクス、ソロの長さでベースギターという楽器の固定観念をぶち壊した。彼が生きていた時代には多弦はあったけど、現在ほど普及していないので、もし彼が今生きていたら、多弦を使用してギターライクなソロをしていたのか気になる。彼のアイデンティティでもあるあのプレイスタイルは完成されていたからこそ多弦を使用しないのか、それとも多弦を使って新しいことをやるのか。

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話を戻すと、アンサンブルにおけるベースという役割で見るとやっぱり、多弦や24フレットはふさわしくない気がする。なぜなら単純に、それらを使うと音域が別の楽器とかぶってしまうからだ。実際に、オールドスクールジャズベーシストたちも高音をメインに駆使しまくるのはあまり多くない。(エディゴメスとかは例外として)

 

ジャズにおけるベースソロのいいところは、これも主観的だけど、ピアノのコード、ドラムのスウィングという静かなバックグラウンドがある中、ベース奏者が味のあるローノートを弾くことで、全体的に曲を見たときに、ソロ奏者の時とベース奏者の時のグルーブにコントラストをつけることができるところではないか。だからソロ奏者がメロディに戻った時により際立つという構成が自然に出来上がる。ではこの時にウッドやエレキでハイフレットのみでギターライクな演奏をしたらどうなるんだろう?少なくとも自分はジャズギターのコンボに耳が聞きなれしまってるために、そのベーシストがギターライクなソロをしたら、それをカバーするベース音が聞こえなくて物足りなさを感じる。(もしかしたらバンドによってはピアノがベースノートをサポートしてくれるかも)それに加えて前述したソロ奏者を際立たせるコントラストの恩恵もあまり受け難い?のかもしれない。

 

 しかしクラッシックのコントラバス奏者、ゲーリーカーを例にとると明確なように、完全に独立したソロ奏者としての視点で見ると、話は全く別問題になる。少なくともこの世にローノートだけをバンバン駆使して、完全にソロをするベース奏者は滅多にいないし、それで有名になったということも聞かない。多くはハイポジションやコード奏法といったよりメロディアスとテクニカルを兼ね備えた弾き方で彼らのレパートリーを色付けている。

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 結局のところ、どんな曲を自分が演奏したいのかは勿論のこと、それをサポートするバンドの楽器は何か、コンセプトは何か、それともベース一本のソロ奏者なのか 

といったように色んな変数に左右されるから、やっぱり一概に何が正しいかとは言えない。

 

自分を例に例えると、私はアンサンブルの中で、ウッドベースでは低音域、中音域でソロを作るのが好きだ。でもエレキベースギターを使う時は有名なソロの分析する時や、ベース一つでコード奏法を使ってソロを組み立てる時なので、ハイポジションをメインで使うことが多い。

 

あなたは多弦や24フレットのベースギターは必要だと思いますか?

 

Steve