Jazz Bass Blog

Exploring The World of Jazz and Low Note

あなたの知らない?ウッドベースの6種類の指弾き方法/ 6 Ways of Plucking on Double Bass

 先日クラッシック一筋で生きている人とアップライトベースのピチカート奏法について話していたら、ジャスのピチカートは変だと言われた。どうも音が前にポーンと飛ばすというよりも横に飛んでるとのこと。

クラッシックのピチカート奏法と比べて”変”といえば確かにそうだ。クラッシックのピチカートでは弦をつまんで前へ弾き飛ばす形なのに対して、ジャズのピチカートはレストロークといって弾いた指が弾いた弦の隣の弦に止まる。 

このレストロークがジャズのピチカート奏法に共通しているのを除いて、ジャズのピチカート奏法は多様多種だ。ジャズのピチカート奏法の歴史が浅いのもあって、これだといった奏法が決まっているわけでもないのである。

 それらのピチカート奏法を大きく分けると6つある。コントラバスの弓の弾き方はフレンチ、ジャーマンと2種類しかないのに対して、ジャズのピチカート奏法は6種類あるから驚きだ。

それでは、本題に参りましょう。ウッドベースの6種類の指弾き方法。

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 1. 人差し指で弾く方法

レイブラウンが推奨していたやり方。この方法だと、指の肉が当たる面積が大きいため、一番デカイ音がアップライトベースから出る。あと駒の近くで弾くとカリッとした良い味のある音がでる。

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使用度:★★★★★

汎用性:★★★★★

弾きやすさ:★★★★☆

 

 2. 中指だけで弾く方法

人差し指よりはシャープな芯の細い音が出る。中指の音を特別好んで弾いているベーシストは見たことがない。E弦など太い弦においては人によっては中指の方が人差し指より弾きやすいという人もいる。

使用度:★☆☆☆☆

汎用性:★★☆☆☆

弾きやすさ:★★★★☆

 

3. 人差し指に中指を添えて弾く方法

これはポールチェンバースがやっていたことで有名ですね。どうなんでしょうね、音としては。マイルドな感じになるのかな。それか弦高の高い弦と相性が良かったり。推測ですが。弾きやすさは人によりますね、長くこれを弾き続けていたら、人差し指よりしっくりくる人もいる筈。ソロではほぼ誰もこの方法で取らないため、汎用性はあまりないと見せかけて、使い方次第ではゴーストノートも出せるため星3つ。

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※イメージはPaul Chambersの貴重な演奏シーンから 

使用度:★★★☆☆

汎用性:★★★☆☆

弾きやすさ:★★★★☆

 

4. 人差し指、中指、薬指を使った3フィンガースタイル

ニールスペデルセンの右手のテクニックで有名な弾き方です。これ、私が今一番興味あるトピックなので本当にこの方法が有効か、練習をしながらただいま検証中。実戦で使えるかどうか検討しています。ところでニールスに至っては2フィンガーでめちゃくちゃ速いテンポのソロをこなせていたのに何故3フィンガーにしたのかは不明。

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使用度:★☆☆☆☆

汎用性:☆☆☆☆☆ (If you could master then ★×5 are added)

弾きやすさ:☆☆☆☆☆ (If you have a long finger then ★×2 are added)

 

5. エレベスタイル

弦に対して指をほぼ垂直に持ってきて、駒から離れた指板のポジションで弾くという方法。芯は細いサウンドだけど、速弾きがしやすい。エディ・ゴメスやジョージ・ムラーツが多用していますね。

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使用度:★☆☆☆☆

汎用性:★★☆☆☆

弾きやすさ:★★★★☆

 

6. コード奏法スタイル

滅多に見ないが、アップライトベース奏者がコードを弾きたい時に使うやり方。したがって親指と人差し指で多弦を弾く弾き方になる。又は指先でフラメンコギターみたいに弾く。ロンカーターやペテルセンが使っているのをよく見る。

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使用度:★☆☆☆☆

汎用性:★☆☆☆☆

弾きやすさ:★★★☆☆

 

以上がアップライトベースの6種類の指弾き方法でした。あなたはこのリストにない弾き方を知っていますか?又はあなたはどの方法でウッドベースを弾きますか?ぜひ教えてください。

Steve

【あなたはウッドベースで弾きたいフレーズ出せていますか?ウッドベースの革新的な弾き方を紹介します】

つい最近のこの記事で指板にシールを貼ることにしたわけですが、この記事ではウッドベース/アップライトベースにおける新しい弾き方を提案したいと思います。

sethproton.hatenablog.com

 

***

あなたはウッドベース奏者の演奏を聞いて、こんなことを感じたことがありませんか?

「何を演奏しているか分からない」「メロディアスな演奏ではないから退屈」「ローノートとレイドバックでジャズの味は出ているがやはり表現に制限を感じる」

 

もしあなたがウッド/アップライトベース奏者なら、楽器を演奏する大変さを知っている為、このような感想をあまり持つことはないと思いますが、他の楽器を演奏している、又はジャズが好きなリスナーならこんなことを思ってもおかしくないのではないでしょうか。

では彼らがこういった感想を持つのはなぜなのでしょうか。理由はいくつかあります。一つは、ベース自体の音が低い周波数を出す楽器であるので、メロディックな楽器ではないと言うことです。(基本的に高音になれば、メロディアスに聞こえる)そういった理由で、バイオリンやギターがウッドベースより人気なのは裏付けられます。

しかし、理由はこれだけではありません。単純にウッドベースは”弾きづらい”からなのです。詳しく弾きづらさを説明すると、ギターと違って、まず4弦なので左手のシフティングが多いわけですね。

 

でもここまではエレキベースと同じですね。問題なのは、それに加えて、楽器自体が大きいが故、ある指板のポジションでは3フレットに対して4つの指と言うルールが適用されるからなのです。つまり、エレキベースでは、クロマティックを弾く時、(C C#/Dd D Eb)左手4本の指を使います。それに対して、ウッドベースは3フレットに対して4本の指全てを使うことになるので、4本をフルに活用して(C C#/Dd D)を弾くことができるということになります。

 

図で見てみましょう。

 

エレキベースギターの場合:

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そしてウッドベースの場合:

f:id:sethproton:20180314124440p:plainこれはウッド経験者から見たら、何を当たり前のことをいっているのか!と言われますが、実にこうした制限がウッドベースに適用されてしまう為に、ソロの時、速いパッセージであるべきスケールのリックがギタリストやホルン奏者と比べて遅くなってしまったり、シフティングが難しいが故に、リックやフレーズ同士の繋がりがなかったりするわけだと分析できます。

 

勿論、この制限があっても素晴らしいソロをする人間は沢山います。有名なベーシストでは、このシフティングを超人的な速さでこなしていながらも素晴らしいソロをするベーシスト、クリスチャン・マクブライドなどが挙げられます。

https://nyoobserver.files.wordpress.com/2017/04/gettyimages-482601516.jpg?quality=80&w=970

 

しかし、彼の素晴らしさはまた今度別の記事で紹介するとして、

今回の記事で私が提案するのはこれです。

 

Thumb Position ハイポジションで使う親指ポジションをできる限り使用する

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また当たり前のことを!と思った方、少し待ってください。親指ポジションを使うのはそうなんですが、これをできる限り使うのです。目的としては、これをできる限り使うことで、エレキベースとの隔たりを無くしてしまおうという試みです。先ほどの図で明確にしたように、エレキは指4本に対して、4フレット。ウッドベースでは親指ポジションを使えば、指4本で4フレット。つまりエレキと同じ指使いになります。

 

しかし従来の方法では親指ポジションは低いGの2オクターブ上からが基本、とされてきました。この制限をなくすことで、エレキベースとの演奏の同化を図る、という試みです。ではどこまで親指ポジションを使えるかというと、親指が一番下のD(5フレット)の位置まで使うことができます。*1

 

イメージとしてはこんな感じです。

www.youtube.com

この演奏者は滑らかに左手を使い、通常の1オクターブ上で演奏しています。(彼は比較的下のノートは親指ポジションは使用していませんが)でもこれはやはり、彼も指板に小さいシールかインレイを貼っているように、この親指ポジションを滑らかに使う為に、シール/インレイの重要性が証明されます。

勿論、シール/インレイ無しでもこのような演奏は可能だと思われますが、それには相当な練習が必要がなのかな、と思われます。

 

私も過去にDonna LeeのヘッドをG弦(1弦)を多用して弾いてみましたが、この親指ポジションを12フレットあたりで行き来させて演奏した方が圧倒的に弾きやすいです。ソロもスケールやコードトーンをより簡単に弾きやすいですし、プリングとハンマリングができるのでエレキライクなソロができて長所がたくさんあります。

 

結論としてこの方法であれば、エレキと同じように弾けるので、よりフレーズがつながりやすくなるのかな、と今回は考察してみました。しかし本当にウッド=エレキにするにはウッドの弦のテンションや弦高をさらに低めに設定するなどの調整が少し必要であったりします。そしてそれを追求しすぎると、”ウッドベースらしい音”という長所も消えてしまうので、難しいところですね。

 

Steve

*1:私の手の大きさと体感で決めました

ベースギターDean Edge9のレビュー/ The Astonishing Price: A Product Review of Dean Edge 9 Electric Bass

f:id:sethproton:20170330232359p:plainDean Edge9 というDean Guitars から作られているベースのレビューをします。

 

このベースは私が初めて購入したベースで、最初の一本になります。そういった愛着や背景抜きにしても普通に良いベースだと評価できます。

 

衝撃の値段

安いから、という理由で購入しました。USのAmazonで購入した時は確か$120以下だった気がします。今現在は$200となっていますがそれでも$200を切っている安さです。f:id:sethproton:20170330171307p:plain

 

見た目や作りなど

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とにかくシンプルの一言につきます。そこら辺の木を拾ってきて弦をつけた感のある適当さがカッコイイですね。サテンフィニッシュの木が全体的にイメージとして前に出ているのもクラッシックな楽器感があっていい。ヘッドは若干メタルやロック入ってるけど。

 

では それぞれの特徴をみていきましょう。

 

ブリッジはクラッシックなフェンダースタイル。

ボディはバスウッドなのでめちゃくちゃ軽いです。

ナットは硬度のあるプラスチック。

ペグは軽い普通のダイキャストで色は黒。チューニングも滅多にずれないです。個人的にはジャズべのマシンヘッドの方が見た目好きですが。

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指板はローズウッド。バスウッドとの組み合わせでさらに柔らかい音になっています。ネックはC型でメイプル。ジャズべと比べると少しだけ太いです(この特徴もプレジションに近い特徴。)そしてノブはトーンとヴォリューム。このシンプルさ大好きです。

  

とにかく軽い

普段から4弦ジャズベースや多弦を持っている人はこのベースの軽さに驚くのではないでしょうか。体感の軽さでは一般的なジャズベースの3/5ぐらい。それでいてパワフル。

 

サウンドについて

音は全体的に良好です。まず安いジャズべと比べてノイズが少ない。ソープバーピックアップを使っている(構造的にはシングルコイル、deanのofficialのウェブサイトによれば)のでハムバッキング効果はないはずなのだけど。ジャズベースより硬い音はないのでスラップしても音がこもる。プレベをスラップしている感じ。全体的なトーンはプレジションに極めて近い音だけど必ずしも同じとは言い難いなんとも不思議な音。シングルコイルなのになぜだろう。リアにPUが付いていないからでしょうか。

 

特筆するのはその中音域の厚みでしょうか。中音域と低音が出るので、アンサンブルの中で何度も演奏してきましたが、音が抜けやすい。自分はオリジナルで付いてきたラウンド弦は外してフラットを張っているので、よりダーク(弦が古いのもある)でウォームなサウンドになっています。

(※現在はラウンド弦に戻したのでダークなサウンドではありません。)

 

sethproton.hatenablog.com

 音源はこちらから確認できます。ちょっとリバーブつけていますが。。

 

バスウッドとローズウッドはジャズに適している?

自分は主にジャズ系の音楽をメインにやるので、硬い木材(アルダーやアッシュ)から出るアタックの強い音やアクティブ回路のブライトな音は、クラッシックなサウンドを追求する上ではあまり必要ないのかもしれません。ローズウッド指板&バスウッドなのでタイトさはメイプル指板と違いあまりなく、ファンク系には向いていないかも。しかし私がジャズで使う音はブライトというよりはダークなサウンドを好むので、このベースとは割と相性がいい。 前述した通り、バスウッドとローズウッド+プレジションっぽい音の柔らかさは、まるでソリットボディのウッドベースのような感じの、クラッシックな音に近いのでクラッシックなジャズとは相性が良いです。まぁエレキ使っている時点でクラッシックというのは少し違和感がありますが。

 

関係ないけど、日本の御茶ノ水の楽器屋さんの店員さんと話していた時に、音のタイトさやドンシャリのあるブライト音とベース本体の価格は比例するようですね。楽器の木材に関係するからしいですが(良質なアルダーやアッシュ、エボニー指板やメイプル指板を使うため)そうなると柔らかいジャズ系の音だけ求めていたら、一般論として機材はファンクやロックのジャンルに拘るプレイヤーに比べて安上がりで済むかもしれません。

 

 

シンプルが一番

最近の傾向だと、ミドルにアクティブ/パッシブセレクター、ベース、トレブル、フロントPU、リアPU...etc を調節できるノブが付いていたりするベースが多いです。それはそれでカッコイイし様々な音作りができて楽しいですが、その分選択肢が増えるということだから、いろいろ複雑になって、EQ調節する時に結局悩んでしまう、ということが多々有ります。でもトーン、ボリュームだけといったシンプルなプレベやこのベースはそういった悩みから解放されます。これしか選択肢がないからといって割りきることができるのが良いですね。

 

そういえば、このベースのもう一つのいいところはピックアップの面積が広いから、フィンガーランプ(右手の指が、弦を弾いた時に深く入り込むのを避ける板)の役割も担っていて弾きやすい。

 

 

欠点

見た目は気に入らない人はいるかもしれません。そのシンプルさからチープさがあります。そしてジャズべと比べるとネックが少し太いです。他にもノブが少ないので、音をジャズベースのようにいじることができないです。あとナットがかなり硬いプラスチックだけど、ナットにこだわる人は気になるポイントではありそうですね。

最大の欠点としては、立ち上がりが遅くサステインが短いことでしょうか。普通のジャズベースと比べるとそのサステインの短さと立ち上がりの遅さは歴然としています。そういった意味ではクラッシックなサウンドには向いているけど、コンテンポラリーな音作りは難しいと感じます。

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 ちなみに現在2/24/2018年ではLa bella のブラックナイロン弦とピックガードを貼っています。

以上がDean Edge9のレビューでした。

 

Steve

ウッドベースの指板にシールをつけてみると驚くべきことに!!/ You Will Be Stunned By Putting Dots on the Fingerboard of the Double Bass!!

『こんにちは、お久しぶりです。今年は色々大学の課題に追われていて、ジャズに集中する機会があまりありませんでした。その中でも最近、ジャズミュージシャンとして何度か雇用させていただく機会があったので、最近またジャズの火が付いてきました。やはりジャズは最高の趣味ですね。

ところで、皆さんはウッドベースの指板にシールを付けたことはありますか?やり始めてからシールを付けて外した人もいるのかと思います。私の場合、やり始めたときはアルコで指板をなぞっていたので付けませんでした。でも今日初めてシールを付けてみて、驚きました。

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***

あなたにとってシールというのは邪道であったり、補助輪であると捉えますか?

私もそう感じていました。実際に私はこんなことを過去の記事に書いています。

sethproton.hatenablog.com

ウッドベースの場合、当然演奏中は基本的に指板は見ないから、頭の中のアイディアが直接楽器に伝わる感覚があった。だけどエレキの場合、指板やインレイを目視してしまいそのリンクを遮断していると感じた。

 

頭のアイディアという点ではそれはそれで正しいのですが、(マッスルメモリーが頭の表現を伝達するから)やっぱりシール付けて弾いてみると、即興で頭の中に入ってくるアイディアの数が断然違いますね。(特にハイポジションで)つまりそれは指板をみることによってできるアイディアなのでつまらないといえばつまらないのですが、何が一番面白いかというと、エレキベースでしか出せなかったフレーズが、ウッドベースでいとも簡単に出せてしまうということです。

 

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特にハイポジションではこのシールが本当に重宝します。チャーリーパーカーの”あのオルタードのリック”やペンタトニックのフレーズやらが異なるキーで簡単に出せてしまいます。

 

もしシールはダサい!邪道だ!見た目かっこ悪い!という方はそれはそれでOkです。私もそう思っていました。(でもこの見た目も結構悪くないですよ)もしセッションで他のベース借りたら、いつも通りに弾けないじゃないか!という方、もっともでございます。でもそれを言ったら、普段自分が所有しているベースが弾きやすいと感じている弦高やネックなども、借り物のベースではそれが感じられませんよね。結局一番表現しやすいと感じられるモノがベストな楽器なのかなと思います。

 

もしウッドベースの練習をしていてプラトーを感じている方がいましたら、指板にシールを貼ってみるといいかもしれません。ウッドベースに対する見方が360度変わりますし、プラトーのブレイクスルーになるかもしれません。

 

あなたはどう思いますか?シールを貼ることに賛成ですか、反対ですか?

Steve

 

6弦ベースの変わった2つの長所と1つの重大な短所?? パート2 / "Odd" Pros and Cons About 6 String Bass Part 2

どうもこんにちは。

sethproton.hatenablog.com

 

sethproton.hatenablog.com

この前の6弦ベースの記事が、アクセス多くて、6弦ベースに興味を持たれている方が多いのかなと思います。そして最近エレキベースの記事を全く書いていないので、久しぶりに、エレキベースの6弦について書きます!今回は、前回に続き6弦ベースの長所と短所のPart 2です。少しジャズをやっている人向けの記事になります。

前回は、短所からでしたので、今回は長所から。

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1. 耳コピに重宝する

ジャズをやっていると、耳コピは必ずしないといけない練習です。そんな耳コピに対して4弦の普通のエレキベースやアップライト/ウッドベースなどを使うと、左手の運指の左右のシフティングが多いので、とても大変です。例えば、弦楽器奏者以外の、ビバップのアドリブをコピーしようとします。例えばアルトサックスのチャーリーパーカーだとしたら、普通のベースで弾こうとすると殺人的な運指になってしまう上に、コピーに必要な高音がない時もあります。

 でも6弦であれば、そんなニーズに応えているのもあって、大抵はフレット数も普通のベースより多いです。従って高音になるにつれて、ギターのようにフレットの感覚も狭まって、弦も細いので、パーカーのような殺人的なアドリブも弾きやすいです!更に、指板がデカイので、コピーしてる演奏者のフレーズが、指板上でそのフレーズの”形”を簡単に認識することができます。

 

2. どんな場面にも対応できる

前回の記事で、私がフラットワウンドからラウンドワウンドにした理由を書きました。

フラット弦を長く使っていた私が、結局ラウンド弦に戻った3つの理由/ Three Simple Reasons Why I Ultimately Chose "Round" Instead "Flat" - Jazz Bass Blog

その決定的な理由は、ラウンド弦であると、どんな場面でも臨機応変に対応できる適応性があるからです。同じ理由で、6弦ベースのラウンドワウンドであれば、どんなライブでもセッションでも対応できるという長所があります。私は個人的にこの長所はとても大きいと感じています。あるライブではメロディーやコードを、あるセッションでは、ファンク系で低音のLow-Ebやハーモニクスなど、またある場面ではスラップなど、さらに、ジャズシーンでは高音を使った即興など、取り敢えず一本持っていれば、様々なジャンルが演奏できるのでとても魅力的です。私はこのジャンルしか演奏しない!と決めているベース奏者はこのメリットはそこまで大きく無いと感じると思います。

 

 

では、次は港であまり聞かない6弦ベースの短所についてです。

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1. 6弦ベースは歴史が浅い=つまらない

6弦ベースは歴史が浅いのでつまらないです。つまらないとはどういう意味か説明します。まず、楽器というのは、言葉で言う所の言語の種類になります。例えば、トランペットが日本語だったら、ピアノは英語です。そして音楽のフレーズが言語(単語)になります。ですので、よりその楽器を使う人口が多ければ多いほど、その言語を話す人間が多くなるということになります。従って違う楽器で、同じフレーズを出せても、その楽器を知る人間が少なかったり、コミュニティーが小さかったら、理解されないケースがあります。それが今の6弦ベースとそのプレイヤー数に当てはまると思います。

たくさんのジャンルの曲が、今日まで、スタンダードの4弦のエレクトリックベースで演奏されてきました。だから実際には、ロックやポップ、又、ジャズのベースのラインを6弦のLow- BやHi-Cの弦を使ってまで演奏する機会はそれほど多くありません。

そして、前述した通り、6弦使用者のコミュニティーの小規模さから、同じ曲でも、エレクトリックギターで弾いたら、周りからテクニックについて共感されたり、大きな反響を呼ぶケースがあっても、6弦のエレクトリックベースでそれを演奏したら、周りから理解されなかったり、?と感想を持たれる場合があります。この感想は、例えば誰かが、12弦ギターのタッピング奏法をやっている人を見たりテルミンを演奏している人を見た時に抱く感想に近いものがあります。要するに演奏の難易度が全く想像できないので、どれほど凄いのか/凄くないのか分からなくなり?となる感じです。

更には、ある演奏者は、その楽器(言語)の種類の中で何かに挑戦するという一定の美的観念をもっています。エレキベース奏者で言えば、ジャコ・パストリアスやヴィクター・ウッテンのように低音はEから、高音はHi-Eb 〜 Hi-G辺りまでと設定しておいて、その中でどう表現するかを追求することに拘る人も多いので、全く新しい言語の6弦ベースは邪道に見えるということも有ると思います。このような意味で6弦ベースは、面白くない楽器だな感じます。 

 

 

以上が、6弦の変わった長所と短所Pt.2になります。今後6弦ベース奏者が増えれば、コミュニティが盛り上がり、6弦ベースがより面白い楽器になるかもしれません。最近はそんな事にちょっと期待しています。

Steve

Jazz Bass BlogはJazz Trumpet Blogに生まれ変わります!/ "Jazz Bass Blog" is Going To Be "Jazz Trumpet Blog"!!

こんにちは、今回は重大なお知らせがあります。

この度、Jazz Bass BlogJazz Trumpet Blogというタイトルに改変することに致しました!!!

理由は沢山ありますが、主にまずベース→トランペットにする事で、得られる2つの大きなメリットがあるからです。それは

 

1)ブログ読者の上昇が見込める。(ベース奏者の人口よりトランペット奏者の人口の方が圧倒的に多い為)

 

2)トランペットというソロ楽器を主軸にブログの記事を構成する事によって、ジャズの醍醐味でもある、ソロの魅力や分析について語ることができる。

 

という事で、今度とも、Jazz TrumpetBlogをよろしくお願い致します。

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冗談です。でも最近トランペットを購入しました。勿論安物です。結論から申し上げますと、今現在、手元にある最高のおもちゃと化しました。その経緯を早速みてみましょう。

いつも通り購入はUSのアマゾンから。

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どうでしょう。超が付くほど安物ですね。考えてみてください。楽器一つが$100です。エレキベースより安くていいのか不安になるぐらいです。諭吉一枚で購入出来てしまうこのコスパ

 

開封してみる。

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思ったよりしっかりしている。ケースとか色々付いてきて、これで$100って安すぎて逆に怖いです。

 

横から
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吹いてみる

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ブーッと汚い音が出ました。屁か。僅かにBb寄りの屁でした。しかし、最初は音すら出ないと聞いていたので、自分でもまず音自体が出たことにびっくりです。そして、何日か遊んでみて、トランペットの難易度、やっとわかってきました。本当に楽器っていうのは、百聞は一見に如かずと言いますか、実際に手にとって演奏してみないと、難易度は検討も付きませんね。

 

とりあえず、わかったことは、トランペットはとても難しい楽器であると思いました。(当然ですが)全体的に音を綺麗に出すように工夫したり、タンギングする練習したり、ハイノート、ロングトーンの練習したり、マウスピースでスケール吹く練習したり、課題が山ほどあります。その山を登ればもっともっと難しさが出てくるんでしょうね。楽しみです。そして、今まで聞いてきたJazzトランペット奏者達の演奏、改めて賞賛せざるを得ません!!

 

何故トランペットなのか

トランペットを選んだ理由は主に2つあって、一つ目の理由は、サックスも大好きなんですが、それ以上にトランペットの音色が好きだから、これからサブ楽器として練習していこうと思いました。やっぱりBlue Mitchellの"I'll Close My Eyes" とか素晴らしいです。

www.youtube.com

あとマイルスのミュート音もクリフォードブラウンのクリスタルクリアな透き通った音も本当に大好きです。

 

2つ目の理由は、管楽器(サックスを含む)の奏者が、即興中に頭の中で何を考えているのか知りたかった/真似したかったからです。弦楽器、エレキ、ウッドもそうですが、どうしても指板を見て即興をしてしまうことがあります。これは、弦楽器である以上、逃れられないことなんじゃないかな。でも、管楽器は、頭の中から直接ダイレクトに楽器を通して、吹き込むイメージが元からあったので、そのプロセスにずっと憧れていました。本当はサックスでもよかったんですが、唇の形で音をコントロールするトランペットやトロンボーンの方が、より、頭の中のアイディアをダイレクトに吹き込む、という意味では近いのかな、と考えたので金管にしました。

 

という事で、初めてのトランペットの記事でした。やはりメイン楽器ではないので、ベースの練習の休憩の合間にちょこちょこやる程度ですが、サブの楽器としては勿体ないぐらい魅力的です。スケールの練習なんか楽しくて止まらないですね。

今後も機会があれば、トランペットの成長過程等を記事にできたらな、と思います。

 

Steve

 

 

 

 

 

 

日本の音楽教育は間違っている、何故なら

先日、はてなBlogで話題になった記事があった。

www.jleague.jp

 

この記事は、元日本代表チームの監督、ジーコ (Zico) ことアルトゥール・アントゥネス・コインブラが、小学生や大人(2名)に対して、電話相談で、質問者の疑問に答える内容なのだが、先ず、全ての子供に対して、彼は以下の引用に似たようなニュアンスのような答えを言う。

サッカーを大好きになって、サッカーを愛してますっていうくらいに、サッカーで遊んでください。

 要するに、一般論でよく聞く、物事を楽しめという、クリシェを強調していた。

 

***

言い古された考え、誰もがそう思うだろう。しかし、これは今に限らず、日本の音楽教育の仕方という概念に反する考えに近い。これに反論する正当性のある例はあるのか?と訊かれれば、自信を持って、首を縦に振ることはできないけども、私の体験談から、例に成りうるこんな出来事があった。

私は、アメリカの大学の音楽心理学の研究機関で、絶対音感持ちの被験者として、実験に参加する機会があるのだが、興味深いことに、ある限定されたエリアに、この絶対音感を持つ人間は多いと、直接研究者の方から聞いたことがある。それは何処かというと、日本と中国である。であるから、研究者らは、人種と絶対音感の相関を洗いざらいして、生物学的な関連性を導き出そうとも試みているが、やはり、文化的な意味での日本や中国のピアノと音楽教育の普及が、絶対音感保持者の急上昇に寄与したのではないかと思われる。その、”文化的な影響”を日本の例で例えるならば、高度経済成長期に日本国民が消費に快楽を感じ始めた時で、ピアノという楽器がその豊かさのシンボルだったのではないかと考えられる。その彼らの消費行動から起因するピアノの音楽教室の市場の拡大した結果が、古今の日本の私的音楽教育だ。そして今の中国が昔の日本にそっくりそのまま当てはまる。私の周りの中国人は、音楽的英才教育を受けている人数が圧倒的に多いと言っていい。そして彼らから訊いた音楽的英才教育に関連するストーリがある。それは、中国の高校受験と音楽スキルを持った受験者についてだ。中国の一部では、高校入試にピアノを弾ける能力が、受験者に備わっていると、合格のアドバンテージになることが多かったが、今はあまりにも多くの受験者がピアノを器用に弾くことができるため、ピアノを弾ける技能自体が、高校受験のアドバンテージにならなくなったのだとか。

 

***

悲しいことに音楽的英才教育がのちに彼らの音楽に対する興味を見出すかと言ったらそんなことはない。私が思う世の中の悲しいことの一つとして、誰かの強制により、誰かが持っていた興味が破壊されてしまうことにある。それは少なくとも私の今住んでいるアメリカでもあって、周りに「音楽やっているの/やっていたの?」と訊けば、やっていたと答える人は多く――しかし彼らの殆どが、「高校時代のブラスバンドで、教師がスパルタだったから辞めた」「幼い頃にバイオリンを習っていたが、親が厳しくて辞めた」等々、他者からの強制によって興味を破壊されたケースが目立つ。

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では日本ではどうか?これも、私の体験談から例を出してみよう。私が5歳から通っていたピアノ教室は、やはり単調と言ってよいほどつまらないものであった。教則本のバイエルから学び出し、ブルグミュラーソナチネ、ハノン等々を1日、2時間、3時間みっちりこなす。練習中に耳にするのは、ピアノ本来の美しさを感じられるメロディアスな旋律というよりも機械的な音だけだった。ピアノの発表会で、ショパンモーツァルトは何回か弾いた事があるけど、当時は、弾くことに必死で、曲自体が美しいと感じたことはなかった。

そして公的音楽教育が行われる、小学校、中学校では、今でも同じような音楽教育だと思うが、ピアノの伴奏付きの合唱に力を注いでいた記憶がある。やはり、体系的な統一性を重視する日本の文化においては、合唱は何かピッタリ当て嵌まるモノがある。他にはリコーダーで、皆で同じ曲を演奏したり等。ここから垣間見える小学校、中学校の音楽シーンに於いてやはり決定的に欠けているのが、創造性である。生徒に、自由に曲を作らせてみる、或いは、生徒が美しい/楽しいと思う旋律を奏でさせる機会が全くといって良いほどない。これでは、”本来あるべき音楽”の形に対して、興味が湧かなくなる。

前提として、音楽のやり方には正しさは存在しない。しかし音楽は、人の創造から生まれる。そして創造性を養わない限り、学生に音楽の楽しさを伝えることなんて無理なのではないか。

 

さて、創造性の不足以外に、何が日本の音楽教育が良くないと私は思うのか。それはエリート主義 (elitism) の排出にある。このエリート主義について説明すると、前述したように、日本では、高度経済成長期に一般的に、ミドルクラスからハイクラスに掛けての世帯が、子供に対して、音楽的英才教育を施していた。(現在は経済の低迷もあり、不明だが)だから、私の幼少期の体験談でもあったように、クラッシックを基盤とした教え方から音楽、楽器や理論を学ぶケースが殆どであったと考えられる。そして、エリート主義はクラッシックだけが崇高で絶対的で、音楽理論的にも完璧だと認める主義の人達なんだけど、日本には、この考えを持つ人間が結構多いような気がする。エリート主義の人達は、勿論、モダン音楽をも好んで訊くのだが、何故かクラッシックというカテゴリーが絶対的なモノであると捉えている場合が多い。この考えについては人々の好み、信条であるから、単純に間違っていると言い切る事は出来ない。しかしこの主義の欠陥は、楽器のテクニック的な面でのうまさがあって初めて、楽器を弾ける、すなわち音楽を楽しむ権利を得られると考えていることだ。だから、人々に「楽器やってみない?」って訊いても「私は(幼い頃からやっている人に比べて)下手だから」という即答が返ってくる。だから結果的に、ある楽器に対して興味が湧いたとしても、このエリート主義の存在とそれの相対的比較によって、興味を閉ざしてしまう。

 

ここで、ジーコの言う、楽しさを発見するという事は、興味を高めるために、非常に重要な要素であることが分かる。”本来あるべき音楽”は、単純に自己表現であるから、楽器が上手い/下手は問題じゃない。自分が思っていることを音楽を通して伝えて、それが楽しければいいというだけのことだ。

 

Steve